「ピザ!」というインド映画を観ました。
インド映画ですがミュージカル要素はゼロです。
あらすじ
主人公はチェンマイのスラム街で生活する二人の兄弟。
町で初めてできたピザ屋さんのピザに憧れるも、1枚300ルピー。
ふたりの1ヵ月の収入分です。
ふたりは憧れのピザを食べるために試行錯誤します。
"The Crow's Egg"が、ヒンドゥー語「Kaakkaa Muttai」を直訳した英語訳。
日本語に直訳すると「カラスの卵」
ピザ屋がたつ前の公園でのふたりの遊び(かつ栄養摂取)は、木に登ってカラスの卵をとって食べること。
自分たちのことを「大きい卵」と「小さい卵」とふざけて呼びますが、母親は木に登ってカラスの卵を食べていることを嫌がります。
とにかくそんなお茶目で明るいふたりがピザを食べるために一生懸命試行錯誤するお話です。
映画の魅力
とにかく、ピザを食べてしまったらお話が終わってしまうので、なかなか食べられません。
試行錯誤する中で、ふたりは期待してワクワクしたり、傷ついたり、悔しい思いや悲しい思いもします。
この兄弟というのが本当に純粋で、一生懸命で、胸が打たれるんです。
特に長男の演技力が大人顔負けで、傷ついた、悲しい、ということを一言も言葉で表現せず、表情だけで表現します。
まだ幼くて、状況をきちんと理解していない弟も、お兄ちゃんにいつも付いて回って、ワクワクして楽しそうにしている表情がとっても可愛らしい。
最後はクスッと笑える、笑顔になれる映画です。
インド旅行中の出来事
ここからは映画の感想ではなく私の学生時代のインド旅行の体験談です。
わたしが23才の就職前で初めてインド旅行に行った時には、ガンジス川で有名なバラナシに4日程滞在したのですが、その間でお金にまつわるトラブルはたくさんありました。
トラブル、というと大げさだけど、お金に関する言い合い。
特に今でも印象に残っているのが、寺院で僧侶に募金をせがまれて断った時に
「あなたたちは何万円もかけて飛行機に乗ってここまで遊びにきているのに、たったの500ルピーも募金しないんですか!?と怒鳴られたこと。」
まぁ500ルピーは日本円にすると700円程度です。
でも、学生の身分で行く先々で外国人価格とむやみな募金をせがまれる身としては、毎度毎度そんな額を支払ってはいられませんし、妥当な価格で旅したい。と思うもの。
しかもその後歩いて行く別の国からの観光客には少し低い金額を提示していて、顔(国籍)をみて金額を決めているのだなと思いました。
でも、一度会っただけの僧侶だけでなく、それなりに親しくなったインド人にも、1日お世話になったリキシャーのドライバーにも、似たようなことを言われました。
「あなた達、お金あるでしょ?」って。
学生の身分で考えると、NO。この7日間の旅の現地で使える予算は2万円。
日本人という立場で考えると、YES。2万円=約1万4千ルピー。
自分たちに比べて極端に貧しい生活をしている人たちの生活圏に「自分の世界を広げるため」に観光する私たちは勝手なのだろうか、
リキシャー50~80ルピーで移動できる距離を、わたし達は200ルピー支払うべきなのだろうか、と思わされる出来事でした。
「ぼったくり」ってなんだろう。
彼らにしたら、外国人がたくさんお金を出すのは当たり前と信じている感じがしました。
わたしはこれを不快と思う訳でも正しいと思う訳でもなく、そういうもの、として受け止めて、無駄な募金はせずリキシャーも適度に値切り旅を続けましたが、なんだか考えさせられる出来事でした。
インド映画を見ると、またインドに行きたいな〜なんて思いますが、
彼らの生活圏にどの程度自分たちが入って行って良いのか考えてしまうと、
わたしにはこれから「観光客として」しか旅することしかできないかもしれないな、と思います。
もちろん、わたしが行ったバラナシは観光客慣れしている地域特有の雰囲気だとも思っています。
でも、前はもっとむやみに無神経に、入り込めた気がします。